出会い系に代わって、新たな援助交際の温床となりつつある出会いチャットアプリの危険性と問題点、求められる対策について解説しています。出会い系ではないとしながら出会えるようになっている出会いアプリは法規制などによる早急な対策が必要です。

ニュースのまとめ

  • 警視庁は平成27年における出会い系およびコミュニティサイトに起因する被害児童数の推移や状況、対策を公開した
  • SNSなどの交流サイト・コミュニティサイトの被害者数は、統計を取り始めてから過去最高の1,652人にのぼった
  • 被害児童の多いサイトにおける被害実態を把握するため詳細調査も実施し、出会い系・コミュニティサイトにおける事犯に対策を講じるとしている

出典:交流サイト被害児童数、過去最多1,652人…現場は出会い系からシフト – BIGLOBEニュース

無料チャットアプリでの被害の増加

警視庁が公表した資料によると、出会い系の利用に起因する18歳未満の児童が援助交際などの犯罪に巻き込まれた事例は、出会い系が法規制される以前の1,100件から93件に大幅に減少したのに対して、無料チャットアプリなどのSNS・コミュニティサイトの利用に起因する被害事例は、過去最多の1,652件に急増しています。

出会い系は、平成20年12月に改正・出会い系規制法により、登録者・利用者の年齢が18歳未満でないことをクレジットカード決済や、運転免許証などの書類によって厳密にチェックすることが義務付けられました。現在は、18歳未満の未成年が出会い系を使うことはほとんど不可能となっており、援助交際相手を募集する場として使えなくなっていることから、児童が出会い系で被害に遭うケースは非常に少なくなっています。

それに対して、出会い系規制法が施行された後に、登場したスマホの無料出会いチャットアプリは、異性紹介事業と法規制の対象となっていないこともあり、18歳未満の未成年者が自由に使えてしまいます。そのことにより、援助交際などの犯罪に巻き込まれる事例が急増しているのです。

出会いアプリが援交被害の新たな温床に

利用者の年齢確認をまったく行っていない出会いアプリは、出会い系に代わって新たな援助交際の温床となりつつあります

冒頭のニュース記事を引用します。

平成27年下半期に報告があった「Twitter(ツイッター)」および1対1の無料チャットアプリ「ぎゃるる」に起因する被害児童調査によると、被害児童が被疑者と会った理由はそれぞれ、ツイッターが「相談できる・優しかったから」、ぎゃるるが「金品目的」が最多理由だった。

人気の出会いチャットアプリとして372万人を超える人が利用している「ぎゃるる」を通じて発生した児童被害で最も多かったのは、「金品目的」つまり援助交際被害であったことが報告されています。

18歳未満の未成年にとって、出会いチャットアプリは、年齢確認・制限から使えなくなった出会い系に代って、格好の援交相手募集の場として使われていることが、明らかになったということです。

援助交際の温床となっている出会いチャットアプリは、この「ぎゃるる」だけでなく「スマとも」など他の出会いチャットアプリも例外ではありません。App Store や Google Play などで配信されている無料チャットアプリのほとんどは、出会いを禁止しているとしながら、実際にはアドレスやLINEのIDの交換ができてしまうなど、出会い目的で使えてしまうことから、ほとんどのチャットアプリが援助交際の温床となっていると考えられます。

出会いアプリも異性紹介事業の対象とすべき

現状では、出会いチャットアプリは、出会い系規制法の規制対象とはなっていません。そのため、出会い系として機能しながらも行政や運営者も事実上放置しています。

  • 利用規約で出会い目的での利用を禁止しているものの、機能自体が出会える仕様になっている
  • アプリをダウンロードすれば誰でも使えるだけでなく、利用者の年齢確認をまったく行っていない
  • 利用者がやり取りするメッセージ内容のチェックが甘いため、隠語や伏せ字を使えば出会えてしまう

これらの明らかな問題点があるにも関わらず、現状では放置されたままとなっています。この状態では、18歳未満の未成年が被害に遭うことを防ぐことを目的に、出会い系を法規制した意味がまるでありません。

法規制された出会い系から、出会いチャットアプリに利用者が移行しただけで、問題はそのままとなってしまっているのです。見知らぬ異性と出会えてしまう 出会いチャットアプリ が法律によって規制されない限り、18歳未満の未成年が援助交際などの被害に遭う事例は今後も増え続けていくことは想像に難くありません。出会い系と同様に利用者の年齢確認を義務付けるなど早急な対策が強く求められます。


出会いアプリでの女子高生の買春被害について解説した昨日の記事でも言及しましたが、出会いチャットアプリの危険性は増すばかりです。法規制によって出会い系での児童被害が減ったことを見ても分かる通り、出会いアプリでの児童被害をなくすためには、出会い系規制法の対象として含めるか、新たな法規制を行う必要があると強く感じます。児童被害が一向に減らない現状からすると、アプリデベロッパーの自助努力だけではどうにもなりません。健全化への取り組み自体を本気で行っているのか疑わしい部分もあります。警察行政による厳しい監視や法規制などの強力な対策を講じる必要があると思います。